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Blogこんにちは。
アドバイザーの今江です。
この数日で一気に寒くなりましたね。
先日モデルハウスで仕事をしていて無垢床の暖かさを再認識しました。
ところが築5年となると不具合もちらほら。
凹み、ひび割れ、シミ、隙間 など。
そこで今回は、よく採用される床材数種類で実験をして比較しようと思います。
事務所の棚から以下の6つのサンプルを選びました。
(以下①~⑥で説明します。)
実験の前にフローリングの種類を簡単にご説明します。
フローリングには大きく分けて単層フローリングと複層フローリングがあります。
単層フローリングとはいわゆる無垢のことで、天然木のみで構成されています。(写真2-①④⑤⑥)
・複層フローリングに比べて熱伝導率が低くヒヤッとしにくい
・繊維の収縮により隙間やひび割れが起きる
・経年と共に風合いが出てくる
などの特徴があります。
一方の複層フローリングは基材と化粧材で構成されています。(写真2-②③)
・表面が塗装されており普段の手入れがしやすい
・傷ができると修復が困難
・基板が合板の為反りにくい
などの特徴があります。
これらを踏まえて実験の話に入ります。
サンプル①無垢②挽板③シートで以下の項目を実験しました。
・縦の線左から カッターナイフの切り傷、定規でえぐった傷、油性ペン
・右上 布テープ
・円左から 凹み跡、水のシミ
【布テープ】
布テープは実験から1日後に剥がしたところ、①②③どれも綺麗に剥がれました。
べたつきや化粧材が剥げることもありませんでした。
【カッターナイフの切り傷】
写真2では③シートにカッターナイフの切り傷が見えますが①無垢②挽板には切り傷が見えません。
カッターナイフが化粧材より深く入ったことで③シートのみ基材の色が現れました。(写真3より)
【定規でえぐった傷】
こちらも【カッターナイフの切り傷】同様③シートのみ基材が見えています。
カッターナイフと比べて傷の幅が広い為①無垢②挽板でも傷がしっかり確認できます。
【水のシミ】
こちらの実験は①②③④で行いました。
①と④どちらもオークの無垢材ですが①はオイル塗装、④が無塗装の違いがあります。
結果…
①無垢塗装②挽板
・見る角度によっては見えない程度のシミ
・縁が滲んだ形のシミ
③シート
・縁がはっきり分かる
・シミではなく水垢に近い
④無垢無塗装
・油性ペンが滲んだ
・水を垂らして1分も経たずにシミが丸からはみ出た
・触ってみるとシミの範囲は少し膨らんで毛羽立っている
【凹み跡】
こちらの実験は全てのサンプルで行いました。
①②③④はフローリングの種類の比較で、①⑤⑥は樹種の比較です。
※私が重たい塊を叩きつけて実験しているので力加減に多少の差があります。
フローリングの種類の比較①②③④
・塗装ありの①②③は凹んだ部分の光の反射の向きが変わり、見る方向次第で凹みが目立つ
・無垢はサンプルを垂直に立てて見ると光ではなく陰で凹みが浮き出てくる
サンプルを上向けに置いて見ると影が出来ないのでどの角度から見ても凹みは分からない
・シートフローリングの③が一番凹みや爪の傷跡が付きにくかったが、シート自体に凹凸が全く無いだけに一番違和感がある
樹種の比較①⑤⑥
・⑤レッドパイン→⑥ブラックウォールナット→①オークの順に凹みやすかった
・⑤レッドパインはあまり力を込めなくても簡単に凹んだ
・⑥ブラックウォールナットは凹んだ部分が白くなり、見る方向に限らず凹みが分かる
○おまけ知識○
木材の硬さは‟比重”に比例しています。
比重とは、物質の密度を指します。
固体と液体は水の比重を基準とし、数値が1以上だと水に沈み、1未満は水に浮きます。
そして、今回採用したオーク、レッドパイン、ウォールナットの比重は
オーク:0.67
レッドパイン:0.47
ブラックウォールナット:0.65
であり、比重が小さい順に柔らかく凹みやすいです。
モデルハウスの床材の杉は比重0.35で実験サンプルよりさらに凹みやすい樹種です。
さて、日常に起こり得るハプニングに対する床材の耐久性実験はいかがでしたか?
今回の記事で出てこなかった【油性ペン】ですが、
こちらは次回のレポートその②で登場します。
レポートその②では今回の床の負傷は直るのか?という内容です。
こちらも参考になると思いますので次回のブログをお楽しみに~(^^)/